JLPT N1 Reading Comprehension Lesson 48

JLPT N1 • Data4 Question

問題5-7

16:00

Passage Content

コーヒーは我が国で、香しい風味と独特の飲み心地で親しまれている。缶コーヒーやインスタント製品も買えるし、一杯100円から200円前後のファーストフード店も登場しているためか、コーヒーの値段を気にかける人は少ないのではないだろうか。 しかしこのコーヒーは限られた発展途上国で生産されるのに、消費されるのは欧米などの先進諸国がほとんどだ。その上、価格はニューヨーク商品取引所の(注1)先物取引で基本的に決定され、小規模栽培が多い現地生産者は価格形成において無力に等しいと言う。こういう投機的で不公平な価格メカニズムが、先進国消費者の無知と無関心に支えられ、発展途上国の社会生活を著しく歪めていると言うのが本書の基本的な認識である。主に取り上げられているのは、我が国で人気の高い品種キリマンジャロだ。アフリカ・タンザニアで生産されるこのコーヒーは、生産量は多くないけれど、酸味が強くコクのある味わいが好まれている高級種の一つだ。著者の調査によると、日本の喫茶店で飲むキリマンジャロが一杯450円だとすると生産者の取り分は僅か2円に過ぎない。最近はコーヒーの国際価格が落ち込んだ上にタンザニアのシリング相場が降下して、日本のコーヒー価格は現地生産者価格の800倍を超える「驚愕の数字」になると言う。「コーヒーの香味は七割が(注2)生豆の生産・流通、二割が焙煎、一割が抽出の技術に依存する」のに、「七割の貢献」が何百分の一という価値にしか評価されないメカニズムこそ価格形成の歪みを示していると言うのだ。世界のコーヒー生産量の約4割はブラジルが占めている。しかも天候などによって生産量は毎年変化する。ところがブラジルの価格はニューヨークの先物取引で決まるため、投機対象とされて乱高下する。アフリカの生産者があずかり知らないうちに影響をもろにかぶってしまう。価格の下落が続くと、家族栽培がほとんどのタンザニアでは、生産者の生活が成り立たない。世帯主が(注3)出稼ぎに行かざるを得なくなるだけでなく、子どもを学校に行かせられなくなるなど影響は大きい。そこで生産者らの暮らしを保証する最低価格で取引を進めようというフェアトレードが大きな課題になってくると言う。実はこういう不公平な価格メカニズムはコーヒーに限らない。 バナナや養殖エビ、衣料など挙げ始めるときりがない。身の回りの品々がどういう仕組みで輸入されているか、現地の人々の暮らしを支える仕組みはどうなっているか。本書は単にコーヒーの問題を提起するだけでなく、私たちの暮らしと世界の繋がりを見る目を刺激して、おいしい飲み物や食べ物が、実は途上国の苦い現実から生まれていることを教えているのである。辻村英之著『おいしいコーヒーの経済論』の書評―久保田千秋による―

Multiple Choice Questions (4)

Question 1問1 コーヒーの価格はどのようにして決まると書かれているか。
Question 2問2 コーヒーの価格はなぜ不公平だと言うのか。
Question 3問3 コーヒー問題で取りあげていないことはどれか。
Question 4問4 文章全体のタイトルとしてふさわしくないのはどれか。